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Posted by: ifcayouth Category: 措置解除 Comments: 0 Post Date: June 2, 2017

アフターケアについて

 佐藤智洋

皆さんこんにちは。私はIFCA日本ユースの佐藤智洋です。去年の11月にIFCAに ユースとして加入しました。現在20歳で、今は日本で奨学金をいただき、アルバイトをし ながら大学に通っています。私は15歳の時、両親の虐待が原因で保護され児童養護施設に入所し、19歳で施設を卒 園しました。今は大学の近くで一人暮らしをしています。
私の発表では、自分の経験を交えながら児童養護施設がどういったところなのか、子ども たちはどんな暮らしをしているのかを皆さんにお話したいと思います。 

まず始めに、児童養護施設とは一体どのような施設なのかお話したいと思います。児童 養護施設とは、児童福祉法に定められた児童福祉施設の一つです。児童養護施設には予期で きない災害や事故、親の離婚や病気、また不適切な養育を受けているなどさまざまな事情に より、家族による養育が困難な2歳からおおむね18歳の子どもたちが暮らしています。現 在、日本には全国に約600の児童養護施設があり、約3万人の子どもたちが暮らしていま す。日本では、家族による養育が困難で保護された場合、児童養護施設に入所することが主 流になっています。施設入所率と里親委託率を比較した場合、施設入所が89%、里親委託 が11%ほどです。この割合は、日本の社会的養護とアメリカの社会的養護の大きな違いだ と思います。

次に、児童養護施設の施設形態についてお話したいと思います。児童養護施設の規模は大 きく分けて4つあります。1つの舎に20人以上が住んでいるのが、一番規模が大きい”大 舎”、1つの舎に13人~19人の人が住んでいるのが”中舎”、1つの舎に12人以下で住ん でるのが”小舎”です。そして最も規模が小さいものはグループホームと呼ばれ一般家庭と変 わらない大きさの施設で2人や3人ほどの極めて少ない子どもが一緒に生活をしていま す。現在約600ある児童養護施設の、40.4%が大舎制、11.6%が中舎制、32% が小舎制、そしてグループホーム等の規模の小さい施設が16%となっています。

例として、私が暮らしていた施設をご紹介したいと思います。私が暮らしていた児童養護 施設は、1舎に8人が定員の小舎制の児童養護施設でした。その施設では、敷地内に、事務 棟、生活棟、体育館の3つの建物がグラウンドを囲むように建っており、子どもたちは生活 棟と呼ばれている三階建ての建物で主に生活を送ります。生活棟は、マンションの様な作り をしていました。階ごとに1寮、2寮、3寮と別れており、また1つの寮の中でもA側とB 側に別れていて、少しややこしい作りなのですが、私が住んでいたのは1寮B側でした。1 つの寮の定員が8人で、同じ階に2つの寮が存在する作りになっており、A側、B側それぞれが扉で分けられ独立した寮になっています。
子どもたちが生活する、自室は2つのタイプ が有り、二人が共同で生活する相部屋と、一人で生活する個室がありました。部屋割りは毎 年かわり、施設の職員が決めるのですが、毎年4月に部屋割りが発表され、皆で一斉に新し く振り分けられた部屋に引っ越しをします。この時は、廊下に荷物が散乱し通れなくなると いう事態が頻繁に起こります。ですが、子どもたちはこの部屋替えをとても楽しみにしてい て、毎年この時期が近づくと皆そわそわし始めます。部屋割りは、基本的に幼稚園から中学 2年生までが相部屋、受験を控えている中学3年生や高校生が個室となっています。相部屋 では、施設の職員が何度もミーティングをして子どもの相性を見ながら誰と誰を相部屋にする か慎重に決めていきます。万が一、子どもの相性が合わなかったり問題があった場合は、部屋 替えの時期を待たずに移動することもあります。 それぞれの施設によって、作りは全く違いますが、私の暮らしていた施設はとても環境に恵 まれていて、プライバシーもしっかり守られていました。また、施設の中も職員がこまめに 掃除をしてくれているのでとても清潔でした。

次に児童養護施設ではどのような人が働いているのかお話したいと思います。児童養護施 設では、子どもたちの日々の養育を担う児童指導員や保育士を始め、食事・食育を支援する 栄養士や調理師、子どもの心理面をサポートする心理療法職員、地域の子育てを支援する職員 など、様々な専門職の人々がチームとなって、子どもたちの生活を支えています。まず は、児童指導員と保育士です、彼らは保護者に代わり、子どもの養育の中心的役割を担いま す。子どもたちと最も多く接するのが彼らです。次は家庭支援専門相談員です、彼らは保護 者などへの支援を通じて、親子関係の再構築を図り、子どもの家庭復帰などを支援します。次 は、里親支援専門相談員です、彼らは里親委託の推進や地域の里親支援を行います。次は個 別対応職員です、彼らは虐待を受けた子どもたちに、個別に支援を行います。次は心理療法 担当職員です、彼らは虐待を受けた子どもたちを心理面からサポートします。次は栄養士と調 理師です、彼らは子どもたちの栄養面や食生活を支援します。次は嘱託医です、彼らは子ど もたちの健康面をサポートします。そして最後が、事務員です、彼らは施設の運営面から子 供達をサポートします。このように、児童養護施設では沢山の人が働いています、私が施設 で暮らしていた時も沢山の人に支えられていました。

最後に、児童養護施設での生活についてお話したいと思います。施設での生活やルールは 各施設によって異なると思いますが、今日は私の施設での生活を皆さんにお話したいと思い ます。私は15歳の高校1年生の時に施設に入所したので、周りの子はほとんど自分より小 さい子ばかりでした。私を含めて定員満杯の8人の子どもで共同生活を送っていました。施設 での生活の中では様々なルールが有りました、例えば起床時間と就寝時間は決まっていて、
平日は皆学校があるので起床時間はバラバラですが、朝食はどんなに遅くとも9時までには 食べ終わらなければならないので、たとえ休日でも朝ごはんの時間までには起きてこなけれ ばなりません。そして就寝時間は学年ごとに違って、小学校3年生までが8時半、小学校6 年生までが9時、中学校3年生までが10時、高校生が11時でした。就寝時間はたとえ眠 たくなくても絶対に守らなければいけない時間で、決められた時間以降はトイレや飲み物を 飲みたいとき以外は自室から出ては行けません。もし、このルールを破ってしまうと次の日 外出禁止などになってしまうので皆時間には気をつけていました。ただ、やはり精神的に不 安定な子どもなどは一人では中々寝付けなかったり、怖い夢を見てしまって起きてきてしまう 子もいるので、その時は職員さんが寝かしつけたり、本を読んであげたりと色々と対応して いました。私もよく子どもたちに絵本を読んであげたり、泣いて起きてきてしまった子を 抱っこしてあやしながら試験勉強をしたりしていました。
他にも、帰宅時間や入浴時間、テ レビを見れる時間なども厳しく決まっていて、たまにこのルールがすごく煩わしく感じてし まうこともありましたが、やはり共同生活を送っていく上でルールはとても大切なモノなの で子どもたち同士で互いに注意し合いながら規則を守って生活していました。また、私の施 設では、子どもたち同士の仲がよく、小さな子も私達の様な年長者によく甘えて来ていたの で、一緒に遊んだり、悩み事を相談しあったりと本当の兄弟のように毎日過ごしていまし た。ですが、もちろん共同生活なので、喧嘩をすることや嫌なことをされることもありま す。例えば私と同い年の、男の子は人の悪口を言うことが大好きで私のこともよく、ブスや キモいなどといった感じで悪口を言っていました。いつもは聞き流していたのですが、ある 日学校のことなどで疲れていた私は彼の悪口にイライラが爆発してしまい、本気で怒り、自 分が飲んでいたお茶を彼の顔にぶちまけて、ものすごく悪い言葉で言い返してしまったとこ ろ、彼が泣き始めて、部屋にこもってしまうという事件がありました。私はあまり覚えてい ないのですが、その現場を見ていた子どもたちは私を絶対に怒らせてはいけないと実感した と話していました。
子ども同士の喧嘩ははっきり言って日常茶飯でしたが、私の施設の良い所 は喧嘩を次の日に持ち越さず、互いの不満をきちんと吐き出し合い、その日のうちに解決す るように職員が導いてくれるところです。互いの言い分をとことん聞いて、悪いところはき ちんと叱り、間違っているところは正しいことを教える。当たり前の事のようですが、数え きれない喧嘩の一つ一つにきちんと対応してくれる職員ばかりだったので本当に良かったと 思います。
私が暮らしていた施設には季節ごとの行事があり、夏祭りやクリスマスパーティーそしてお正月 などをみんなで楽しみます。私は4年間児童養護施設で過ごしましたが、この4年間は私の 人生の中で1番自由で、そして楽しかったと感じます。もちろん辛いことは沢山ありまし た、でもそのたびに職員や子どもたちに助けてもらいながら乗り越えてきました。今行きた かった大学に通えているのも、健康で夢を持って生きられているのもこの4年間があったか らこそだと感じています。
この発表で私は、日本の児童養護施設について触れてきましたが皆さんはどのように感じ ましたか?児童養護施設は子どもたちにとって良い所なのでしょうか、それとも悪いところ なのでしょうか。私は、施設を出てこのIFCAに入って活動していく中で、自分がとても恵 まれているのだと感じました。発表の中でも何度も話していますが、私のいた施設はとても 恵まれていたのです。すべての施設がこのような感じではありません。児童養護施設は、施 設ごとにまったくシステムやルールが違います。私の友人がいた施設では、就寝時間以降は トイレでも部屋の外に出ては行けないといった、驚くようなルールがあったり、少しでも ルールを破ったら懲罰房のようなところに隔離されてしまうといったまるで刑務所のような 生活を強いられる施設も存在します。
今の日本の社会的養護では、家族による養育が困難で 保護された子どもはほとんどの場合、児童養護施設に入所します。自分の意志でどこに行くか 決めることは出来ませんし、どこの施設に入るのかも自分で決めることは出来ません、殆ど の場合突然施設に連れて行かれ、今日からここで暮らしてくださいと伝えられます。もしそ の施設の環境が悪くても、子どもは簡単に施設を出ることは出来ません。私は、自分は施設に 入ってよかったと感じています。ですが、すべての施設を出た子どもたちがそのように感じ るわけではありません。私の友人は、施設を出られる日を指折り数えていたと話していまし た。私は、児童養護施設が悪いところだとは言いません、ですが改善が必要な部分はたくさ んあります。児童養護施設は子どもたちを守る為の場所でもありますが、生活している子ど もたちの家でもあります。安心できない、くつろげない場所は決して家とはいえません。こ れからも、IFCAのメンバーそして社会的養護の元にいた先輩として活動を続け、後輩たち に、安心して幸せだと感じられる環境をつくってあげたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。

This post is also available in: 英語

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