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Posted by: ifcayouth Category: アメリカと日本の児童福祉のしくみ Comments: 0 Post Date: 5月 22, 2017

フォスターケアにいた時期をふり返って

デイビッド・イングリッシュ

今年の5月2日、僕はワシントン州のフォスターケア・トゥー21というプログラムを終了し、自立した。10年間暮らしたフォスターケアを正式に離れることになった。 21才になった僕は、今回の措置解除は、最初の18才の時よりも、難なく乗り越えることができた。

3年間措置を延長する前は、正直言って怖かった。自分が何をやっているのかもわからず、準備もできていなかった。「自分で全てをしなくちゃならない」という気がしていた。3年間という時間が手に入り、大人になる準備を整えることができた。自立に向けた新しい責任とチャレンジに立ち向かえたんだ。それになによりも、何か困ったことが起きたら、支えがそこにまだある、ということは心強かった。

フォスターケアは完璧ではない。10年間のフォスターケアでの経験の中で、僕は孤独と直面したし、どこに行っても自分の居場所が見つけられない感覚に悩まされ続けた。人から身を隠そうとしたり、フォスターケアにいないふりをしてみたりした。そして、何一つとってみても自分の人生の中で永続的なものはない、という考えに押しつぶされそうになっていた。僕の経験から言うと、フォスターユースには、いくつかのとても重要なことが起こる必要があるんだ。養子縁組されたり、親元にもどったりできなかったユースは、自立の準備ができている必要がある。そして、以下の3つのことが大切だと考える。

■ 家族の数よりもソーシャルワーカーの数が多い、という現状を変える。ユースの人生の中に、いれかわりたちかわりソーシャルワーカーが登場してはいけない。ひとりのソーシャルワーカーがユースを継続的に支える、そうすれば、いろいろなことが改善されるだろう。僕の場合、過去に10人はソーシャルワーカーがいた。でもそのうち、3人しか思いだすことができない。自分が生身の人間ではなく、ただのケースファイルのように感じることが何度もあった。

■ 絶対にひとりぼっちにならないこと。ユースは、万が一何かが起こっても、誰かが必ず助けてくれるに違いない、という感覚を持つ権利がある。僕が、受け入れられている、と感じることができたのは、他のユースたちと時間を過ごすことができた時だった。ユース同士の繋がりはとても重要だ。

■ 必要なリソースにいつも手が届くこと。 ユースにとっては、すでにある機会を実際に有効に使うことが一苦労である。このリソースのことを知っていたらどんなに便利だったろう、と思うことがほとんど毎日のように起こる。例えば、ユースのための“ホームウィズイン・セラピー”とかYMCAのインデペンデント・リビング・プログラムとか。エデュケーショナル・トレーニングの学費クーポンなんかは、僕には関係ないリソースだと最初は言われていた。だけれど、後になって僕にも使えるリソースだということがわかった。

フォスターケアについて僕が言いたいのはこういうことだ。州政府が僕らの親代わりだ。だから、普通の生活を送ることができるはずなのに、人間扱いされない現実がある。

今ふり返ると、僕は成長したし、フォスターケアが教えてくれたことはたくさんある。昔は、失敗することへの恐怖感から、自分に自信が持てなかった。でも、フォスターケアでの経験があったために、そして、自分の限界だと感じているところよりも、もうちょっと先に手を差し伸べて頑張ってごらん、と僕の背中を押してくれた人たちのお陰で、僕は変わることができた。

フォスターケアの中に身を置かなかったら、僕には今のように成功する機会はなかったのかもしれない、とも思う。以前は、頭はそんなによくない、と思っていたけれど、現在は、ソーシャルワークの学位を取るために、大学に通っている。ひとりでは生き残れない、と感じていたこともあったが、今では自立した生活を送っている。僕は、自分が信じ、求める何かのために闘い続ける術を学び取ったのだ。まわりの人たちの大切さも学んだ。例えば、僕の里親とか僕を励まして暮れた人たち。僕は今、フォスターユースたちのためのアドボケートとして、いくつかのNPO法人をとおして、アメリカ国内での、そして国際的な活動をしている。

今、フォスターケアの中に身を置く君。それからもうケアを離れたユースの人たち。これだけは知っていて欲しい。君は、どんなことにも立ち向かう力がある。そして、現状を良くしていくことができる。そんな可能性を秘めている。どんなに、これはだめに違いない、どんなに頑張ってもチャンスはやってこない、と思える時もあきらめてはいけない。外に向かって、目標を高くさだめよう!

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