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矢部 詩紋

福島県出身で、2011 年に東日本大震災を経験し、父母が離婚して関西に引っ越しました。同年夏頃母の義父と同 居を始めた途端に放射能差別を受けました。その後、義父・実母から児童虐待を受けて小学 5 年、6 年で計 4 回 緊急保護(うち 2 回は長期入所)されました。一時保護所では職員から不適切な指導を受け、人間不信に陥り、 誰も信用しなくなりました。

義父が虐待した原因は、「歪んだ愛情」でした。昔の教育は叩かれて育つのが当たり前だったのですが、義父自身 がなかでも酷い家庭に住んでいたことから非行に走ってたそうです。その結果、歪んだ愛情が生まれ、子どもに 対する愛情表現が不器用になりました。「叩いて当然、体で覚えさせることが教育だ」と思っていた方でした。そ れしか教育方法が分からなかったのかもしれません。私自身、それを知った時は驚きましたし、虐待をしてしま う問題の根っこに気づかされました。

その後、中学入学と同時に児童心理治療施設に 3 年間入所し、仲間と暮らしていく中で初めて生きてる価値を見 出しました。中学卒業と同時に家庭復帰しましたが、虐待は再発してしまいました。学校が終わったある夜に自 ら児童相談所に行くことを決心しました。家庭裁判で親権停止が決定し、高校は公立高校に転学しました。自立 援助ホーム 1 年、里親 1 年と転々しながら過ごすことになりました。

現在は社会福祉士を取得するため、当事者活動をしながら福祉系大学で勉強しています。2023 年にお金の知識 をつけたくてファイナンシャル・プランニング技能士を取得しました。今後は IT 企業に行き、福祉×IT×人を かけあわせた事業を立ち上げる夢を持っています。

長年、暴力から苦しんできた人生ですが、当事者活動をする理由はたくさんあります。特に社会的養護に対する 偏見と、子どもの権利に対する考え方を変えたいという気持ちが強くあります。

私は、社会的養護って本当に素敵な場所だと思っています。親と離れて過ごしてる中、「私は生きてていいんだ」 という価値観を生み出してくれたのが施設生活でした。みんなの前で明るく振る舞うことに疲れた時にはたくさ ん話を聴いてくれました。発達障害の特性を出しても、暴力や軽蔑がない世界でした。こんな素敵な社会的養護 を「かわいそう」「薬漬けにされてそう」といった偏見を持った目でまなざす人は意外と多く、本当に悲しかった です。

そして、子どもの権利を軽んじている人がいる現状を知った時、今すぐにでも変えていかないといけないと思い ました。これは個人の問題ではなくて、日本社会全体の課題だと考えています。海外では、子どもの権利につい てとても大切に考えている国があります。しかし、日本では「子どもはおとなしく大人の言うことを聞くべきだ」 という考えを持ってる人が非常に多いのではないでしょうか。IFCA を通して、この 2 つの点を日本だけでなく、 世界の子どもにも視野を広げて課題解決に向けた取り組みができたらと思っています。