畑山麗衣
1)私にとって措置解除(≒aging out)は、新たな人生のスタートと社会的養護の課題と向き合うタイミングでした。大学進学と同時に退所をしても良かったのですが、金銭面(家の初期費用)や大学生活に慣れていない中一人暮らしは厳しいのではないか?という施設職員からのアドバイスのもと、施設から通学することになりました。しかし、児童養護施設は子どもの施設の為、一応門限があります。大学生になると門限を守る為には大学の授業が終わり友達と雑談もできず施設へ帰っていったりと、バイトをすると夜遅く帰ることにもしばしば。肩身の狭い想いになり、もう少しのびのび生活したい・せっかく大学に入ったのだから学生団体にも入って活動したいと色んな葛藤がある中で、退所を決意しました。(※結果的に私は4ヶ月措置延長し児童養護施設(ファミリーグループホーム)から通学していました。)
退所してからというもの色んな予期していなかったことが起きました。まずは児童養護施設は常に子どもや職員の声が聞こえてくるのですが、一人暮らしを始めると家の中が静かすぎることに気づきました。そうすると夜は小さな音が気になってしまい寝られないといった不眠症のような症状が半年くらい続いたのです。それと同時に、もう一つ大きな壁にぶちあたりました。それは親との問題です。入所中は自分と親の間に施設や施設職員が入って調整をしているのですが、退所した途端、親と直接自分が関係を作らないといけなかったのです。約6年くらい連絡がなかった父が急に連絡をとってきたのですが、親との関係の作り方も知らないし、父自身も色んな課題を抱えていたため父と連絡のとれる嬉しさと同時にしんどさの方が大きくなってしまい精神状態が普通ではなくなってしまい、不眠だけでなく体の色んな面に悪い症状がでてきました。体力には自信があるのですが・・・自分でもこの2つのことに対して一番驚きました。
措置解除というものは“自由ですべてが自己責任”になることと同時に色んな壁にぶちあたるのです。そうしたときに誰か頼れる人がいたら良いのですが、心配をかけたくないといった想いも強くなかなか相談できないという子どもたちは多くいます。そんな時、私は大学の友達や先輩・先生、また施設職員に頼ることができた為、ある程度今はわりきって生活できるようになりました。正直、措置解除=自由で誰にも頼らなくても・相談しなくても自分で決めれるんだ!とわくわくした部分が大きく占めていたのですがめていたのですが、実際のところすべてがそう上手くいくものではありませんでした。先ほどあげた2点だけでなく、学費と生活費をまかなうための学業とアルバイトの両立や保証人・親権者問題など自分の中で、措置解除は自由を手に入れるのと同時に守られた世界から、免疫のないまま何も盾のない世界へ出て行くということも意味していると思いました。
2)もしも私が、措置解除された時にもとって何かひとつだけ変えられるとしたら、それはいったい何か…
一つ変えられるとしたら、保証人・親権者問題です。18歳~20歳の空白の2年間をつくっている制度・法律を変えて欲しいです。例えば家を借りるにしても保証人をたてないといけない・クレジットカードを契約しようとしても親権者が必要・携帯やインターネットを契約しようとしてもほ保証人が必要といった問題があります。年齢的に措置延長をしない場合は18歳で退所しなければいけないと決まっているのにも関わらず、法律は私たちは未成年とみなす為、20歳まで色んな壁にぶちあたります。そんな時に施設に頼れたら良いのですが、退所児童の親権者には施設長はなれません。兄弟に助けを求めても色んな条件があり誰もたてられず、2カ所の不動産やで契約不成立になったときには本当に自分はどうしたら良いんだろうかとすごく悩みました。18歳で退所したが、ある意味本当の自立ではありませんでした。20歳になったときはすごく嬉しくて嬉しくてやっと社会に認められる年齢になったと喜んだのを覚えています。しかし、20歳になった今でも保証人・親権者問題にはぶちあたります。これは子どもだけでなく、保証人・親権者をたてられない人が多く居る中で、この法律・制度はかわっていくべきではないかと思っています。
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