YN
みなさん、こんにちは。IFCA東京ユースのYNです。現在19歳の大学2年生です。大学ではソーシャルワークや社会福祉について学んでいます。
私は、もともと母子家庭として生活していたのですが、14歳の時に母が精神的な病を抱え、結果として入院をすることになりました、そのため、一緒に生活を送ることが困難になり、ほかに頼れる身寄りもいなかったので、そのまま児童相談所に保護されることになりました。その後14歳から18歳で高校を卒業するまでは、児童養護施設で生活をしました。
さきほどのちひろさんのお話から、日本の児童養護施設や児童福祉の現状が少しご理解いただけたと思いますので、私からは実際に児童養護施設に生活してきた経験からそこがどんな場所なのかお伝えしたいと思います。
施設のシステムやルールなどは、その施設ごとに異なると思うので、今回は私の施設の場合でお話しさせていただきたいと思います。
私の施設は、敷地の中に4つの寮を持っており、それぞれに16人ほどの子どもたちが所属していました。その中の一つに私も属していたのですが、私は入所した当時14歳と比較的年齢が高めであったこともあり、ほとんどの子どもたちは幼稚園生・小学生と年下でした。
私が施設に入ってまず驚いたのは、子どもたちや職員、みんなが揃ってご飯を食べている光景でした。私も母と生活していたころは毎日一緒に食事をとっていましたが、8人が一つの食卓を囲んでいる光景には驚きました。16人単位で生活をしているのですが、食事の時は16人だと人数が大きすぎるので半分ずつに分かれていました。子どもが8人、職員を合わせると10人近い人が一斉に食事をとっているところは、客観的に見ると、なんだか遠足みたいですごく奇妙に思えました。しかし、今思えば、食事の中で子ども同士・子どもと職員の関係をはぐくむことを大切にしていたという理由があると感じ、とても素晴らしい習慣だと思うようになりました。
職員は食事以外にも子どもたちと関係性を築くために、様々な協力をしてくれました。例えば、服を買いに行くときは頼めば一緒についてきて洋服を選ぶのを手伝ってくれたり、時々施設の外で家庭の話や施設での生活の愚痴を聞くために秘密でカフェに連れて行ってくれたりしました。私は、施設で過ごした4年間の中で2人の職員さんが担当として関わってもらいました。この職員さんたちには今でもお世話になっていて、メッセージのやり取りをしたり、月に一度は直接会って近況報告をしあっています。年齢が若い女性職員二人なので、母親とはいえませんが、私にとっては良いメンターであり、おねえちゃんのような存在です。
施設での生活は面白いこと、楽しいこともありましたが、不満に思うことももちろんありました。不満の一つは、部屋の狭さでした。日本の児童福祉法では、児童養護施設の部屋は4人以下で一部屋を使用することと定められています。私のいた寮は、同性の二人で6畳の部屋を共有していました。机やタンスをおくと、残りのスペースは布団を二枚ぴったり引ける分ほどしか残らないすごく狭い部屋でした。また、建物自体も古く、大雨の時などは雨漏りもしていました。また、一緒の部屋になる子どもの組み合わせにも不満がありました。私は、年長であったので組み合わせる相手が小学生しかいませんでした。年下が嫌ということはないのですが、私が学校のテスト期間中であったり、受験生の時は同室の子が勉強の邪魔をしてきてすごく困ってしまいました。同室の子が幼稚園児だったときは、夜な夜なおねしょをしてしまい、布団を一緒に取り換えたり、朝から匂いに我慢しなくてはいけなくて正直ストレスが溜まりました。建物の建て替えや子どもの組み合わせを変えるなど早急な解決ができない問題が生活していればいくつもありましたが、その都度施設の職員は相談には乗ってくれ、たとえ解決ができなくても話を聞いてくれる姿勢にすごく救われたと感じています。
私の施設は、職員同士が勤務外にもそれぞれの家に集まってホームパーティーをしたりするほど仲が良く、子どもたちに対しても共通の方向性で接してくれたので子どもたちは、職員の違いには振り回されないで済んだと思います。楽しいことも嫌なこともある4年間でしたが、今思えばこの4年間は私にとって必要なものだったと感じています。また、こうやって前向きに考えられるのも職員や施設そのものの環境など多くの面で恵まれいたからだと思います。日本には、まだまだ職員による虐待に苦しんだり、劣悪な環境の施設で暮らす子どもたちが大勢います。施設の生活が私に与えてくれたものは大きかったので、施設が悪いと一概には思いませんが、まだまだ改善の余地があると感じています。
IFCAの活動を通して、子どもたちの声の代わりになって、現状の改善に努められたいと思っています。
ご清聴ありがとうございました。
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