ユース・アドボカシー:ルーイー・ガスパー

ユース・アドボカシー:ルーイー・ガスパー

ルーイー・ガスパー

2011年から現在まで、私は社会的養護のアドボカシーの分野で信じられないくらい多くの素晴らしい機会を得て、活動してきました。2011年、私はカリフォルニアのグループ施設に住んでいました。エネルギーをぶつけるところがないまま、その当時の自分の状況に不満足で、ネガティブな行動を見せたり、家出をしたりしていました。スポーツや勉強に意識的に時間をつかうようにしたら、そのような行動は、よくなったことは確かです。ですが、自分は、なにかもっと意義のあることができるに違いないと感じていました。ある時、自立支援のワークショプに参加した時のことです。何人かの年上の元ユースの人たちが、アドボカシー運動(権利養護)は、組織的な、そして個人的なレベルにおいて、たいへんインパクトの大きいことだという話をしました。私は彼らの次のミーティングにも参加しました。このユースたちは、ユース・アドボカシーとカリフォルニア・ユース・コネクション(CYC)という団体についての全てを説明してくれました。

カリフォルニア・ユース・コネクション(CYC)は、社会的養護の法律、政策、実践の改革のためにユースが仲間、そしてコミュニティのエンパワーメントを行うリーダーを育てる、当事者ユース主導型の団体です。私は時々、彼らのミーティングに顔を出すようになりました。私が13歳になる、ある週末のことでした。CYCのコンファレンスにはじめて出席しました。そのコンフェレンスが、私に多くのことを教えました。その中でも一番重要なことは、ユース一人一人にボイス(声)があるということでした。社会的養護のもとで育った多くの人たちに出会い、そして自分と同じように、アドボケートとして運動をしたい、と考えている人たちに会うことができて、自分は独りではないのだと、感じました。このことは、私にいろいろな意味で、ノーマルシーを与えました。こんなに大勢の同じ境遇を経験したフォスターユースに出会い、お互いを理解し合えたのは、これが初めてだからです。その時から、当事者の多くがそうであるように、私も、フォスターケアの制度をよくるすために自分の人生を捧げよう、と心に決めました。

最初は、なにをどうしたら良いのか、わからなかったのを覚えていました。でも気づいてみると、私はCYC 初のポリシー議長に選出されていいました。その時の仕事は、州全体のグループ施設を完全に無くす運動、そして、ユースに対して、必要以上の向精神剤を 投与している医師たちとの闘いでした。私は、今まで、政策立法委員会、団体支部の支部長、顧問、会議の進行役、会計、そしてスピーカーとしての役目を果たしてきました。

今年、私は、フォスタークラブとう全米組織が主催する、オールスター・インターンシップに参加する機会を得ました。このインターンは、 全米から選ばれた当事者リーダーとして、連邦レベルの社会的養護の分野で認知され、自分の当事者としての語りをとおして、政策や児童福祉の実践を変え、子どもたちの生活向上を目的として影響を与え続けています。オーランド(フロリダ州)や、ワシントンDCの国会議事堂まで、アメリカ中を旅して、力強いユースボイスを聞いたことは、私を開眼させました。

50マイル離れたところでも、そして500マイル離れたところでも、どこかにユースがいて、私と同じように情熱をもって社会的養護をよくすることに貢献していると思うと、心が洗われるような気がします。社会的養護でのアドボカーシー運動は、私にノーマルシーをとりもどす、原動力になりました。私と同じ考えをもった人たちとともに、力強く、長年のあいだ続いていく友情を築くことができて、この私が自ら選んだフォスターユースの家族は、私がどこでも得ることができなかった愛情と、サポートを与えてくれているからです。

ユース・アドボカシーの団体と構造について

ユース・アドボカシーの団体にもいろいろな種類やレベルがあります。個人的なレベルで活動しているグループもたくさんありますが、大多数の団体は4つのカテゴリーに分けることができます。連邦政府レベルの児童福祉委員会、州のレベルの委員会、そして、 非営利の全米アドボカシー団体、州のレベルの非営利団体です。こういった委員会は、たいがい政府が支援をしていて、非営利団体よりは、人の出入りが頻繁ではありません。非営利団体はというと、政府や自治体が部分的に経済的に支援しています。たいがい、理事がいて、ユースにより編成された顧問委員会があります。

全米規模の非営利団体

フォスタークラブ:インターネットにサイトを設けて1年後、フォスタークラブは当事者ユースが頻繁に検索するサイトになってゆきました。サインアップした子どもとユースたちは、全米の他のユースたちとつながり、自分の経験を個人情報を守りながらシェアし、社会的養護のもとで育った有名人のストーリーを読み、社会的養護に特化した情報を24時間いつでも手にいれることができます。

その他の団体:全米社会的養護の当事者:全米社会的養護研究所、フォスターユース・イン・アクション、フォスターケア・アラムナイ・オブ・アメリカ。

州レベルで活動する非営利団体:

カリフォルニア・ユース・コネクション:カリフォルニア州に住むユースたちが、CYCという団体を作りました。この当事者主導型の団体は、カナディアン・ユース・イン・ケア・ネットワークという団体をモデルにしていて、当事者のエンパワーメントと、ユース・デベロップメント(ユースの内面の成長)そして、政策アドボカシーを目的としています。

*ほとんどの州レベルのアドボカシー団体に、地域ごとの支部があります。地域に根ざしたアドボカシーのグループが州のもとに集まっているかたちです。

例としては、モッキンバード・ソサエティ(ワシントン州)、ユース・トレーニング・プロジェクト、ユース・シャイン(フロリダ州)

連邦レベルのユース委員会:

全米社会的養護の政策評議会:全米から選び抜かれた元ユースたちが連邦レベルの児童福祉の政策の可決にむけて活動をしています。フォスタークラブとフォスターケア・アラムナイ・オブ・アメリカとパートナーシップを結び、協働しています。

州レベルのユース委員会:

パッション・トゥー・アクション:このユースによる評議会は、州議会にはたらきかけて、州のレベルの政策の可決に向けて動いています。州知事により、間接的に監督を受けています。

他の州レベルの委員会:IFYAB (アイダホ州 フォスターユース顧問委員会)、ネバダ州 ユース評議会

これらの委員会や組織を見てみると、大まかにわけて、アドボカシーを3つの活動のタイプにわけています。どの団体にもこの3つの要素があるわけではありませんが、この要素があつまると、より効果的な団体に成長します。

政策アドボカシー:これはユース・アドボカシーの真髄ともいわれる活動です。議会で提言をしたり、議員と会談をしたり、政策の ブループリントも作成します。これは、間接的なインパクトと言えますが、州全体のユースの利益につながるので、インパクトの規模は大きいと言えます。

トレーニングとカリキュラム:ユースがアドボカシーの先頭に立つためには、児童福祉の専門家や当事者ユース、そしてカリキュラム作成を行い、トレーニングの進行をしなければなりません。これは、ユースの活動の中でも、直接的であり、同時に間接的なカテゴリーに属します。ワークショップの主要素を教えるのはユースですが、教えられた側が、内容を実施する立場だからです。

ユース・エンパワーメント:ユースがユースを支え、プロジェクトを推し進め、お互いを刺激しあい助けあうことを指します。これは、アドボカシーのなかでも一番直接的なアドボカシーと言えます。ユースにならだれにでもできるし、自発的に他のユースを助けることができるからです。

ストラテジック・シェアリング=効果的なアドボカシーの方法(個人的にも組織的にも)

ストラテジック・シェアリング:社会的養護の当事者にとって、制度をとりまく難しいトピックについて、戦略的に(計画性をもって)人に伝えてゆくことは容易ではありません。また、他のタイプの話し合いの中でも、人に居心地の悪さを味わせずに、個人的なストーリーを語り、影響をあたえることもたやすくはありません。

若い話し手に、ストラテジック・シェアリングを教えるには、最初はオープンな対話から初めて、誰が利き手なのか、何が目的のストーリーのシェアなのかということを一緒に考えてあげます。 批判的な考え方を教えてあげることが大事です。何を話すことが、的を得ていて適切なのか。メッセージがまっすぐに人に伝わっているかどうか。このスキルはアドボカシーだけでなく、毎日の生活にも役立ちます。

カリフォルニア州でのアドボカシー運動の成果(18の法律が樹立):

フォスターケア・オンブズマン カリフォルニア州では、CYC の努力により、全米でも一番先にフォスターケアのオンブズマンができました。上院議員法933(1998年)オンブズマンの事務局にはフリーダイアルがあり、ユースは、制度にかんする意見や苦情の申し立てができるようになっています。

措置延長サービス法:CYCは、下院議員法12 (2010年)を可決しました。CYC はこの法の可決のために、児童福祉のアドボカシー組織と2年の月日をかけて協働しました。

社会的養護の当事者の権利:2001年、何度かの失敗を繰り返し、CYCは、ユースの権利についての権利条約を上梓し、法の中に組み入れました。ユースの権利にかんするすべての法律を、州法のなかに一連の条例としてひとつの場所に収めることに成功したのです。

フォスターユースの権利条約:この小冊子は、システムに入ってくるすべてのユースに手渡されます。権利について章立てで書かれてあります。その中のいくつかをここに紹介します。また、大文字で書かれた部分は、実際の法律の中の文章そのままを抽出したものです。

あなたには、このような権利がある:

尊敬の念を持って接してもらう。

宗教の自由の保障として、どのような宗教活動をしてもよい。

開封されていない手紙を渡される。

フォスターケア制度の外部の人たちに連絡を取れる。(友達、教会のメンバー、教師など)

ソーシャルワーカーや、弁護士、少年監査官、CASA、ユースのアドボケートや支援者など、ケースに関係のあるさまざまな人たちも含む。

ソーシャルワーカーや少年監査官から、措置・委託場所の情報を得ることができる。

ひとりの大切な大人とのきずなを築く権利がある:裁判所での権利、健康にかんして、学校教育についての権利:

ほかのユースたちと違った扱いを受けない。自分で自分のことをする権利がある。

家族にかんする権利も保証されている。社会的な活動に参加することができる。

上記のような事項が議会に提出され、いくつかの州で法律になったことにより、どのような場所に措置されても、ユースにはかならず自分たちの権利の全ての内容を知り、自分で自分の権利を守ることができるようになった。このことは、インパクトが大きい。

カリフォルニア・ユース・コネクションに限らず、このような委員会や非営利団体は、パーマネンシーの確立についての法律、ポジティブな関係を形成についての法律、児童福祉の中で、賢く情報を得ながら生活できるための法、などをふくむ社会的養護の改善にかかわる法律を、ユースの声を基盤に、樹立したのである。その他にも健康と教育にかんする権利の獲得、児童福祉の総合的なリフォームは、ユースの声無しには完成しなかっただろう。

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