アリッサ・ニューマン
LGBTの若者は社会的養護制度の中で固有の課題に直面している。
最近のヒューマンライツキャンペーン(HRC)の調査によると、LGBTの若者は社会的養護の中で高い比率を占めているという。すなわち、社会的養護の中で、LGBTの若者の割合は通常よりも高いのである。調査では、一般的にはLGBTの若者は7.2%とされるのに対し、社会的養護でのLGBTの比率は13.6%となっている。トランスジェンダーの若者となると、一般的には2.25%に対し、社会的養護では5.6%となる。
HRCは、こういったことの背景にある主な理由は、彼らの多くが、実親家庭で、性的指向、性自認や性表現などが理由で拒否されていることを仮定している。拒否されたり、虐待されたことにより、彼らは重層的なトラウマを抱えている。
LGBTの社会的養護当事者の経験はLGBTでない社会的養護当事者の経験とは大きく異なっている。2002年の調査では、45名のLGBTの社会的養護当事者は、平均で6.35回の措置変更を経験していて、通常の「3回」の2倍以上となっている。この問題の主な理由は、ソーシャルワーカーや施設職員、里親にある偏見や差別が広く存在していることだ。
ニューヨーク市での、「家で過ごせないLGBTの若者」の調査結果は、以下の通りである。
・里親からの性的指向や性自認に対する嫌悪によってLGBTの若者の78%が里親家庭から引き離されたり、逃げ出したりしていた。
・施設でLGBTの若者の100%が言葉の嫌がらせを受けていた。
・施設でLGBTの若者の70%が暴行を受けていた。
結果として、多くのLGBTの若者が里親家庭から逃げ出そうとして、青少年の司法システムに関わってしまう場合も多い。
これらの経験は、アメリカ健康福祉局の子ども若者家庭部門が強調している「親と暮らせないどの子どもも若者も、性的指向、性自認や性表現に関わりなく、安全で愛情のある里親家庭で暮らす資格がある」というミッションに反している。
こういったミッションとのズレは、アメリカにおいて、性的指向や性自認に基づく差別からの保護に欠けていることが主な原因である。社会的養護当事者を差別から守る特別法は、13州とワシントンDCにしかない。性的指向や性自認に基づく差別から若者を守る法は、それらに7州加えた州に存在する。
他の原因は、彼らを受け入れることのできる里親家庭が不足していることである。多くの州ではLGBTの若者を進んで受け入れる家庭を探すのに苦労している。一部の州では、LGBTの里親の認定に消極的だ。
里親になろうとするLGBT当事者を差別から守る法は、14州とコロンビア地域にしか存在しない。
さらに多くの里親家庭では、様々な理由によりLGBTの若者を受け入れたくないという。
すべての若者を受け入れることのできる社会的養護制度に変えていくために、アメリカの社会的養護当事者は彼らのストーリーと固有の経験について意識を高めていく必要があるだろう。
参考資料:ヒューマンライツキャンペーン http://www.hrc.org
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