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Posted by: ifcayouth Category: COVID-19 と社会的養護の当事者, ProjectC, アメリカと日本の児童福祉のしくみ Comments: 0 Post Date: 5月 31, 2020

カリフォルニア・ユース・コネクション (CYC) のウェビナーに参加して

はじめまして。

関西チームSAの長瀬です。

ふだんは、大学の保育士養成課程で子どもの福祉関連の科目を担当しつつ、

社会的養護の子どもの権利について研究しています。

先日、粟津さんから案内をいただき、

CYCの主催する

Skill-Building Webinar: Campaign 101 with CYC

スキルを獲得するウェビナー:キャンペーン101

というワークショップに参加しました。

アメリカの当事者ユースが全米から20名ほど参加していました。

現地では午後、日本時間では朝の7時スタートでした。

セミナーの趣旨は、

It is more important now than ever that we have a coordinated response to COVID-19 to get the wins for the foster youth of our community. Join us for our Campaign 101 Skill Building Webinar with California Youth Connection. We will learn both the steps and processes of developing a youth-centered campaign. Sign up to join us here!

というものです。

社会的養護のユースたちにとって

新型コロナウィルスにともなって生じるさまざまな物事に対して調整していくために

(英文では「勝つ」とも表現されていますが)

ユースを中心にしたキャンペーン(社会運動)を発展させていくための段階とプロセスについて学ぶものです。

ウェビナーなので、「聞いてればいいか…」と思っていたのですが、

ZOOMを使った完全なるワークショップで、

グループワークは複数回実施されるし、チャットは駆使され、

ZOOMの機能を最大活かした運営がなされていました。

私はあわてて、「日本は朝7時でいろいろ準備しないといけないから、聞いときます」

とコメントを打ちました…。

では、学びの流れに沿って、内容を紹介しますね。

 

1.導入と自己紹介
まず、チャットで自己紹介を行うことが指示されスタート。

最初は、campaign(キャンペーン、社会運動)とは何か

という定義の確認から始まります。 

そのスライドがこちら。

特に青字について意見交換をしていきます。

ファシリテーターが、ひとつひとつの言葉が、社会的養護の当事者の社会運動においてどのような意味なのかを解説しつつ、ディスカッションを深めていきます。



2.グループワーク1:キャンペーン(社会運動)を構成するプロセスを考える

次に、社会運動には6つのステージがあることを共有し、その6つのステージを順番に並び替えるグループワークでした。


1 変えたいと望む問題を定義する

2 これらの問題が生じる根幹の問題について理解する

3 勝利のたたかいのために必要なものを明らかにし、発展させる

4 勝利のための戦略を発展させる

5 キャンペーン(社会運動)を実行する

6 評価する




3.グループワーク2:課題をユースの声から浮かびあがらせる

次に、意見聴取のmenti というサイト(https://www.menti.com/)を使って、(Googleフォームのようなものをイメージしてもらったらよいかと思います。)ファシリテーターからユースに問いが投げられます。

What are all the issues/challenges current and former Foster Youth are facing right now?

今、当事者ユースが直面している問題やチャレンジとは何か?

というものです。

このmentiというサイトは、出された意見を視覚的に効果的に見せるのに良い方法だなあと思いました。

下記が、ユースたちが回答したものです。



書かれた回答に対して、どのようなことなのか意見交換を続けていきます。

例えば、「Keep up with school (学校に通い続ける)」についてディスカッションがありました。「このことは、コロナに関連しているのか?」とさらに問いかけ、「学業については全般的に難しい」「基本的に里親家庭にうつりながらやっていくのは非常に大変」「コロナ下で大学に行き続けるのは非常に大変」といったことをユースが語っていました。

こうした意見聴取の際、チャットでもどんどん意見が書かれていきます。

学校という場所は、「どれほどフォスターユースを助け続けてくれたものだったか、大学に行けないということがユースを助ける方法を失わせている」、「学校はいつも家から逃げることのできる場所だった」というやりとりが書き込まれたりしていました。


4.グループワーク3:優先順位をつける

グループワークは、いろいろな当事者が出会ってディスカッションできるようにするために、毎回違うメンバーでした。

3つ目のグループワークは、たくさんある問題のうち、優先順位をつけるワークでした。

優先順位をつけていく際、ファシリテーターから助言があったのは、「あなたの日常に最も影響を与えているものは何か」というものでした。



5.全体共有

最後に、教育についてさまざまに意見交換がなされました。

ファシリテーターからは、社会的養護のユースに、なぜこの問題が生じているのか、その問題が生じている背景は何なのか、そこを考えていく必要性についてコメントがありました。

ピース(経験)一つずつつなげていくことによって、社会的養護のシステムで育つ子どもたちを支えない限りは何も変わっていかない、少しずつ社会的養護のユースの声が強まっているけれどもまだまだ十分でない、サービスを受けられるユースとそうでないユースがいること。その差を埋めていくのは、声をあげていくことしかないとも。

どうやって社会運動を続けていくのか、そのドキュメントをCYCはいっぱい持っているし、いつでも共有します、というところで終了でした。

非常にテンポの早いワークショップで、ついていくのに精一杯でした。

通訳のしほさんが入ってくださっていたので、断片的にでも理解できたことが救いでした。

社会運動をどうやっていくのか、ということを具体的に考えていく。いきなり難しいことを考える前にグループワークがあって、順番に入れ替えるなどディスカッションしやすくしていました。そして、間に入る、ファシリテーターたちのコメントが深く、これまでの学びと経験をもとにユースリーダーに助言している様子がうかがえました。実際にそうしたプロセスを経験してきたファシリテーターの言葉だからこそ、説得力があることを感じました。

キャンペーン(社会運動)とは何か、行動をおこしていく、政策や制度を変えていくということはどういうことなのか、ということを、ユースの日常の困りごとに焦点をあて、ユース自身の経験と思いに耳を傾け、掘り起こしながらグループワークを多様に用いながら実施していくところが興味深かったです。

ユースの生きる現実が、どれほど社会の状況に影響を受けているものであり、そこに気づかせていく工夫があり、ファシリテーターが、経験と定義を結び付けていく学びを提供していました。

コロナ危機だったからこそ、参加できた学びの時間。貴重な機会でした。


(記事の上にある2枚の写真 ①  CYC – Day at the Capitol に参加したカリフォルニア州と日本のIFCA メンバーたち ② CYC ロゴ)

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