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高橋 未来

私は9歳の時に児童養護施設に入所しました。理由は両親からの虐待と貧困です。しかし他のみんなと違うところは、私は自ら希望して施設を選んだというところです。私にとって施設は衣食住がそろっている天国なような場所でした。
施設での暮らしは家での暮らしよりもずっと贅沢でとても好きでしたが嫌なこともありました。それは子供が暴れたりうるさかったりルールがおおかったりもあります。しかし一番嫌だったことは子供の意見を聞かずに、子供にとって「いいこと」を勝手に決められ環境をかえられてしまうことや、私が相談したいときや話したいときにいつでも時間を取ってくれる大人がいなかったことです。そのような経験から、社会的養護の下の子供の意見を積極的に聞きそれらを制度や政策に取り入れ子供にとってよりよい環境をつくることが私の夢です。
今、私はもともと住んでいた東京を離れ、縁もゆかりもありませんでしたが静岡県の大学に通っています。入学後の学費や生活費のことを考えて選びました。今の生活は正直に言うととても苦しいです。学費も生活費も全部稼がなくてはいけないし困ったときに相談する相手もいません。東京が私のふるさとなのに東京に帰る場所もありません。私は施設を出てから措置延長や奨学金のこと、また施設ごとにそれらの情報に差があることを知りました。在園しているときにそれらの情報をもう少し知っていたら、今とは違った生活をしていたかもしれません。しかしすべてを含めて、私にとって児童養護施設で暮らしていたという経験は人生においてプラスのことだと思っています。この経験が私を強くしてくれるからです。